30年後のSIer

30年後のSIerの姿を考えるときが来ていると思っている。

SIerは、伝統工芸品の職人がいまだにいるのと同じように、

30年後も普通にいると思うが、当時の仕事と全く同じ仕事では生きられていないと思う。

 

ここでいう、SIerとは顧客ニーズに対するシステムのソリューションを

上流工程のコンサルから下流の実装までを引き受ける人たちの事を想定する。

 

現在、Salesforceプラットフォームやその他業務SaaSなど、

カスタマイザブルなクラウド基盤をベースとしたシステム開発が

徐々に拡大しているが、この流れはまあ妥当だと考える。

 

車輪の再発明として、スクラッチな開発を否定する考えも大いに見られるが、

自分は、過去の知識の上に積み上げる形でのスクラッチ開発は、

特に問題ないし、技術を把握する事もふまえてスクラッチ開発は

良い行いだと思っている。

 

大事なのは、技術を積み重ねるにあたって、先人の考えをふまえた上で積み上げる事だ。

 

今は、サービス指向にあるので、サービスの中身が分からなくても、使い方が分かっていれば利用できるという恩恵をうけられるので、錯覚しがちだが、

ソリューションを提供するものは、サービスの範囲内で提供するのであれば特に利用すればいいが、それを踏まえた拡張サービスを作ろうと思ったら、その元のサービスについても深い理解が必要である。

 

要するに、利用者と作成者は違う。

テレビは中身を知らなくても使う事はできるが、ブラウン管テレビから拡張して液晶テレビを作ろうと思ったら、ブラウン管テレビの内容も知っていなければいけないという事だ。

 

話がずれたが、SIerもそういった意味で、カスタマイザブルなクラウド技術の上に、新しいソリューションを構築しようと思ったら、先人の技術を把握する必要がある。

(利用するだけなら把握する必要はない)

 

それはめんどくさいと思われるかもしれないが、実はめんどくさい事は先人が考えてくれているので(おそらく)、既に答えのある簡単な事である。

 

そういうわけで、30年後のSIerは、いまは想像できないとんでもないことをやっているかもしれないが、いまの技術と全く関係ないところをベースにしてやっている訳ではなく、いまの技術の延長線上の何かをやっているんだろうなという個人的見解に至った。

 

今一度、現在の技術を見直す必要がある。

クラウドによってすべての技術が汎用的、大衆的になってつまらないなぁと思う反面(それは人知の平準化という意味で素晴らしいのだが)、これを拡張して、新しい価値、フェーズを見いださなければと思う。