汽笛

「ぽっぽー」

音が聞こえた。

汽車の汽笛の音である。この近くを汽車が走っているのだろうか?

周りを見渡してみたけれども、汽車らしきものがあるようには思えない。 ここは東京都会のど真ん中だ。

「何探してんだ?」

いっしょに歩いていた祐介が怪訝そうな顔で聞いてきた。

「いま、汽笛の音がしなかった?ぽっぽーって」

「ぽっぽー?w、なにそれ、しねぇよ」

笑われてしまった。 「そっか、、まぁ、空耳かもね」

こんなところに汽車とかあるわけないし、まぁ空耳でもしたんだろうと、ボクは自分を納得させた。